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歯科におけるボツリヌス療法-科学的根拠に基づいた筋力コントロール
こんにちは。赤坂矯正歯科院長で矯正歯科専門医の黒岩です。
今回は、歯科におけるボツリヌス療法について、勉強会に参加してきましたので
最新の知見と実践的な情報をお伝えします。
睡眠医療において有名な港区赤坂の古畑歯科医院の古畑梓先生が主催された会です。
(赤坂矯正歯科と同じ通りにある歯科医院で、ご近所さんです。)
最近、歯科治療におけるボツリヌス療法の有用性が広がりつつあります。
なぜ今、歯科でボツリヌス療法が注目されているのか?
最近、歯科治療におけるボツリヌス療法の有用性が急速に広がっています。
過度の咬合力による口腔内トラブル
- 知覚過敏
- 骨隆起
- 歯周ポケットの悪化
- インプラントの不安定化
- 入れ歯や被せ物の破損
口腔外の症状
- 肩こり
- 首こり
- 頭痛
- 顎関節症
私の専門分野である矯正治療においても、咬合力が強すぎると治療の進行が遅くなることがあります。これらの問題に対して、ボツリヌス療法が新たな解決策となっているのです。
例えば、噛む力が強すぎる場合、入れ歯や被せ物などの破損、知覚過敏、骨隆起、歯周ポケットの不良、インプラントの安定性などの口腔内の問題が生じます。
特に私が専門に扱っている矯正治療においても、咬合力があまりにも強い場合は矯正治療がなかなか進まないという経験もあります。
また、口腔外では肩こり、首こり、頭痛、顎関節症などにも悪影響があると報告されています。
今まではう蝕・歯周病などのプラークコントロールに重点が置かれていましたが、
今後は噛む力のコントロールも重要になってきます。
歯科ボツリヌス療法の適応症例
- 咬筋肥大・ブラキシズム・筋筋膜痛(顎関節症)
- 口唇閉鎖不全
- ガミースマイル
- その他(顔面麻痺、顔面ジストニア、三叉神経痛など)
ボツリヌス療法の実際:科学的アプローチ
- 解剖学的知識の重要性:効果的で安全な治療のためには、顔面の解剖学を熟知し、適切な注射部位と目標とする筋肉を正確に把握することが不可欠です。
- 客観的な診断:MYONYX社の表面筋電計を使用して、咬筋の活動を数値化します。基準値は男性100μv、女性50μvです。私自身の測定では、右136μv、左126μvでした。常に歯ぎしりしているような方だと500-600μvとも言われているため、少し安心しましたが実際の測定値を見ると、それでも噛みしめていることが実感できました。
- 適切な製剤と濃度の選択:安全性と効果を確保するため、高品質の製剤を適切な濃度で使用することが重要です。
ボツリヌス療法の基本
これらの症状に対して、解剖学的背景からどの部位に注射を打ち、どこの筋肉に効かせるのかをしっかりと把握して行うことが重要です。
手技自体は困難ではありませんが、基礎をおさえた治療が最も安全で効果が高いと考えられます。
↑ボトックス注射を打つ際のセッティング例です。
↑ 表面筋電計を使用して、咬筋の活動を数値化しました。
当院での取り組み
当院では、矯正治療の診断時に、あごや筋肉の痛みに関する詳細な検査を行っています。
臨床経験上、多くの患者さんが無意識のうちに過度に噛みしめていることが分かっており、ボツリヌス療法はその改善に有効な選択肢の一つとなっています。
注意点:安全性の確保
近年、安価なボトックス治療が流行していますが、不純物が多く含まれる製品もあり、特に美容大国と呼ばれる韓国では、安価なボトックスによる失敗例が多く報告されています。安全で効果的な治療のためには、専門的な知識を持つ医師による適切な製剤と手技の選択が不可欠です。きちんとした解剖学的基礎に基づいた効果のある濃度で行うことが安全でお勧めです。
まとめ
歯科におけるボツリヌス療法は、ガミースマイル、食いしばり、顎関節症などの悩みに対する革新的な解決策です。科学的根拠に基づいた適切な治療を受けることで、口腔内の健康だけでなく、全身の健康にも良い影響をもたらす可能性があります。お悩みの方は、ぜひ専門医にご相談ください。当院では、最新の知見と技術を活用し、安全で効果的な治療をご提供しています。
赤坂矯正歯科
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