
目次
こんにちは。
赤矯正歯科 院長/日本矯正歯科学会認定医の黒岩です。
歯列矯正治療の専門医院として日々、診療を行っております。
今回は、先日拝聴した井上 敬介 先生(I Dental Clinic)「井上敬介式MFT:診断 × アルゴリズムで導く短期集中オーラルフィットネストレーニング」(3ヶ月間で成果を出すMFTメソッド 〜Facial Harmony & Airway Expansion〜)で得た知見を元に、私自身の見解も交えながら紹介させていただきます。
お子様の歯列矯正を検討しているお母様、お父様はぜひご覧ください。
(スライドはセミナー資料を引用させていただいております。)
「うちの子、口がいつも開いてる気がする…」 「歯並び、最近ガタガタしてきたような…」 「いびきをかいているけど、大丈夫かな?」
そんなお悩みを抱える保護者の方へ。実はそれ、「歯並びの問題」だけではなく、「呼吸・筋肉・生活習慣」が深く関わっているかもしれません。
小児矯正は“歯を動かす”だけではない!
従来の小児矯正は「歯並びを整える」ことが中心でしたが、最近では**顎の成長を促し、呼吸や筋肉のバランスを整える“原因療法”**が注目されています。
特に今、注目されているのがORT(オーラルルートセラピー)矯正という新しい概念です。
ORT矯正とは? お口の“壊れたギア”を治す原因療法
ORT(オーラルルートセラピー)矯正は、歯並びが悪くなる「根本原因(ルート)」を突き止め、その原因に合わせて治療していく方法です。
例えばこんな原因があります:
- 舌の筋力不足(絶症体短縮症など)
- アレルギー体質による鼻詰まり→口呼吸
- 姿勢の悪さや頬・唇の筋力低下
- 食生活や睡眠環境の乱れ
これらはすべて「歯並び」に悪影響を及ぼす**“壊れたギア”**です。ORT矯正では、これらのギアを一つずつ見極め、適切にアプローチしていきます。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)のリスクと現状
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、眠っている間に呼吸が何度も止まる疾患であり、子どもにも大人にも共通する深刻な健康リスクをもたらします。
▶ 成人におけるSAS
-
日本では成人の約5人に1人が睡眠時無呼吸の傾向があると言われています。
-
特に中年以降の男性、肥満体型の方に多く見られます。
-
高血圧、糖尿病、心疾患、脳卒中など生活習慣病との関連も指摘されています。
-
主な原因は「舌根沈下(舌が喉の奥に落ちること)」で、睡眠中に舌の筋緊張が低下し、気道が塞がれてしまいます。
▶ 小児におけるSAS
-
子どものSASは見落とされがちですが、口呼吸やいびきがサインになることがあります。
-
成長ホルモンの分泌低下、集中力の低下、学習障害のリスクにもつながるため、早期発見・早期対策が非常に重要です。
-
原因としてはアデノイド肥大、扁桃腺肥大、鼻詰まり、そして口腔筋の機能不全が挙げられます。
このような背景からも、呼吸機能と口腔機能の改善を同時に行うアプローチ=MFTの重要性が高まっています。
小児のMFT(口腔筋機能療法)で「お口ポカン」を改善!
小児の不正咬合や口呼吸に欠かせないのが、MFT(口腔筋機能療法)です。
MFTが注目されている理由:
- 舌を正しい位置に保つ力を育む
- 唇をしっかり閉じる力がつく
- 頬や咀嚼、嚥下の機能が改善
- 正しい鼻呼吸の習慣が定着する
さらに、MFTは睡眠時無呼吸症候群(SAS)の改善にも有効とされ、
- 成人では約50%
- 小児では約60%
の改善が報告されています。
これは、CPAP(シーパップ)などの対症療法ではなく、「根本原因に働きかける方法」として、成人にとっても大きな可能性を持つアプローチです。
小児矯正は“予防医療”へ進化している!
小児矯正は今、歯を動かす“矯正治療”から、成長をサポートする“予防歯科へと進化しています。
特に6〜9歳の「顎の成長ピーク期」においては、
- 顎を正しく育てる
- 鼻呼吸を習慣化する
- 嚥下や咀嚼の癖を修正する
といった「育てる矯正」が非常に効果的です。
矯正治療の前に
- 問診と顔貌診断
- 呼吸・姿勢の評価
- 必要に応じた食事指導や耳鼻科との連携
といった連携も重要になってきます。
お子さんの本来の成長を引き出すためには、歯だけでなく、全身・生活・習慣に目を向けることがカギなのです。
当院のこれからの取り組み
当院では、現在の矯正治療に加えて、今後MFTトレーニングの導入を予定しております。
口腔筋機能療法(MFT)の概念に深く共感し、 「口呼吸やお口ポカンの根本原因を診断し、 生活習慣や筋肉機能まで整える」 という包括的なアプローチの重要性を強く感じています。
今後、MFTの導入により矯正治療の効果がさらに向上し、 お子さんの成長と健康をより深く支える治療体制を整えてまいります。
また、
(※現在、具体的なMFTプログラムやトレーニング方法の導入は検討中のため、本記事では概念と重要性に焦点を当てています)
「うちの子も当てはまるかも?」 「鼻呼吸にした方がいいとは聞くけど、どうすれば…?」 「矯正っていつ始めるのがベスト?」
など、どんな小さなお悩みでも構いません。
お気軽に初診相談をご予約ください。
執筆者紹介
赤坂矯正歯科 院長 黒岩哲良
経歴:日本矯正歯科学会認定医/歯学博士/鶴見大学歯科矯正学講座 非常勤講師
矯正専門の歯科医師として、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供することを使命としています。
デジタル矯正技術の導入や、世界中でアップデートされる治療方法の研究を日々行いながら、治療精度を高めています。
インビザライン、エンジェルアライナー、スマーティーなどのマウスピース型矯正を複数取り扱っています。
ワイヤー矯正やアンカースクリューを併用したハイブリッドな治療、裏側矯正も行っており、幅広い症例に対応可能です。
患者さんの健康と審美性を両立させるため、チーム医療の重要性を重視し、各専門家との連携を積極的に行っています。
これからも最新の知識を学び続け、より良い矯正治療を提供できるよう努めてまいります。お気軽にご相談ください。
関連ページ:「ドクター紹介」
関連ページ:「はじめての方へ」
当院の最寄駅は千代田線赤坂駅7番出口すぐ30秒です。
赤坂見附駅からも徒歩9分なので銀座線、丸の内線もご利用いただけます。
赤坂、赤坂見附、六本木、乃木坂、青山、溜池山王など、近隣にお住まいの方から、関西方面にお住まいの方まで、幅広いエリアからご来院いただいております。