MDコードとは? 矯正歯科医が注目する「顔貌デザインの共通言語」 美容医療と歯科矯正の連携シリーズ②|赤坂矯正歯科|港区赤坂駅すぐの矯正専門歯科クリニック

Tel.03-6230-9959

〒107-0052 東京都港区赤坂6-3-16赤坂ストリートビル1F
WEB予約WEB予約
ヘッダー画像

ブログ

MDコードとは? 矯正歯科医が注目する「顔貌デザインの共通言語」 美容医療と歯科矯正の連携シリーズ②|赤坂矯正歯科|港区赤坂駅すぐの矯正専門歯科クリニック

MDコードとは? 矯正歯科医が注目する「顔貌デザインの共通言語」

― 美容医療と歯科矯正の連携を支える、標準化された注入プロトコル ―

【この記事のまとめ】

・MDコードはブラジルの形成外科医 Maurício de Maio 医師が提唱した、ヒアルロン酸注入の標準化プロトコルです

・顔の解剖学的部位を記号化し、注入位置・深さ・器具・量を統一することで、世界共通の治療言語として機能します

・「シワを消す」のではなく「顔が発する感情メッセージを整える」という発想が特徴です

・治療は「基礎→構造→仕上げ」の3段階で進める、家を建てるような設計思想です

・矯正治療のセファロ分析や段階的治療計画と哲学的に共通する点が多くあります

 

こんにちは、赤坂矯正歯科 院長の黒岩です。

以前のブログで、美容医療と歯科矯正のコラボセミナーについてご紹介した際に少しだけ触れた「MDコード(MD Codes™)」について、もう少し詳しく掘り下げてみたいと思います。矯正治療を深く追求していくと、必ずぶつかるのが「歯並びの先にある顔貌のデザイン」という領域です。その世界で、美容医療側の標準言語となりつつあるのがこのMDコードです。

MDコードとは何か

MDコードは、ブラジルの形成外科医 Maurício de Maio(マウリシオ・デ・マイオ)医師が提唱した、ヒアルロン酸フィラー注入のための標準化プロトコルです。2021年に『Aesthetic Plastic Surgery』誌に発表された原著論文で、その全体像が初めて学術的にまとめられました。

従来のヒアルロン酸治療は、医師個人の感覚や経験に依存する部分が大きく、結果のばらつきが課題でした。MDコードは、顔の解剖学的部位をアルファベット+数字で記号化し、それぞれに以下の情報を紐づけます。

  • 注入する正確な位置(例:Ck1 = 頬骨弓)
  • 注入の深さ(皮下/骨膜上/脂肪層など)
  • 使用する器具(針orカニューレ)
  • 注入テクニック(ボーラス/ファンニング/少量注入など)
  • 推奨注入量(Active Number)

たとえば「Ck1 + Ck2 + Ck3 + Ck4 + Ck5」という式は、たるんだ頬を治療するための頬部5ポイントへの標準プロトコルを表します。世界中どこの国の医師も、この記号を見れば同じ治療内容を理解できる ― まさに国際共通言語として機能します。

「感情のメッセージ」を治すという発想

MDコードのもう一つの特徴は、「シワを消す」ではなく「顔の感情的メッセージを整える」という発想にあります。

論文では、顔が発するメッセージを次のように分類しています。

  • ネガティブな属性:疲れて見える/悲しげに見える/たるんで見える/怒って見える
  • ポジティブな属性:魅力的/若く見える/立体感がある/フェミニン(またはマスキュリン)

患者さんは多くの場合、「ほうれい線が気になる」と特定部位の悩みを訴えます。しかし本当の不満は「疲れて見える」「老けて見える」といった全体の印象であることが多い。だからこそ、個別のシワを消すのではなく、顔全体のメッセージを整えるアプローチが必要というのが論文の主張です。

↑こちらはMDコードに基づいて段階的なヒアルロン酸注入を行ったケースです。
明らかな変化が認められます。(論文内のケースを引用)

 

「家を建てる」という比喩

MDコードの治療は、家を建てるように進めるべきだと論文は報告しています。

  1. Foundation(基礎工事):中顔面の土台 ― 頬部のボリューム回復
  2. Contour(構造工事):上顔面(こめかみ)と下顔面(顎・フェイスライン)の輪郭形成
  3. Refinement(内装仕上げ):目の下、ほうれい線、唇などの繊細な調整

多くの患者さんは「目の下のクマだけ治したい」と仕上げ工程だけを希望しますが、土台がたるんでいる状態でクマだけ埋めても不自然になります。だから医師は患者さんに、まず基礎から整える必要があることを丁寧に説明すべき、と述べられています。

矯正歯科医としての視点

私がこの論文を読んで強く共感したのは、矯正治療の哲学と驚くほど似ているという点です。

  • セファロ分析で基準を数値化する → MDコードで注入部位を記号化する
  • 骨格性 → 歯槽性 → 細部の審美 と段階的に治療する → Foundation → Contour → Refinement
  • 予測実現性の向上と治療プロトコルを重視する → 再現性と標準化を重視する

※誤解されそうなポイントなので補足しますが、矯正治療の最終ゴールは患者さんによって少しずつ異なるため、終盤で細部の調整が必要になります。同じ歯並びの人は存在しませんが、かみ合わせの重要な押さえておくべき共通ポイントはいくつかあります。
それも矯正治療でいう再現性と標準化に当たると考えています。

矯正治療が歯列・咬合の基盤を作り、美容医療が軟組織のボリュームを整える。両者が共通のゴール像を持てれば、患者さんが本当に望む「顔全体の仕上がり」に近づけるのです。

知っておきたい留意点

論文は開発者自身の臨床経験に基づくエビデンスレベルIVの文献です。ランダム化比較試験ではなく、また著者はヒアルロン酸メーカーのコンサルタントでもあります。合併症ゼロを保証するものでもありません。鼻・眉間・目周りなど血管リスクの高い部位(論文内で赤色表示のアラートコード)は、解剖学に精通した熟練医のみが扱うべき領域と強調されています。

それでも、「顔貌全体を設計図で考える」という思想は、矯正治療を極めたい歯科医師にとって非常に学びの多いものです。今後も美容医療と矯正歯科の連携を深め、患者さんに最適な治療をご提案してまいります。

 

よくあるご質問(FAQ)

Q. MDコードは歯科医院でも使われるのですか?

A. MDコード自体は美容医療(主にヒアルロン酸注入)で用いられるプロトコルであり、歯科治療で直接適用するものではありません。ただし、矯正歯科医がMDコードの考え方を理解することで、美容医療との連携がスムーズになり、顔貌全体の治療ゴールを美容医師と共有しやすくなります。

Q. 矯正治療とMDコードはどう関係するのですか?

A. 矯正治療は歯列・骨格の基盤を整える治療であり、MDコードに基づくヒアルロン酸注入は軟組織のボリュームを整える治療です。両者を連携させることで、矯正単独では到達しにくい顔貌全体の調和を目指すことができます。治療順序は、原則として大きな変化を伴う矯正を先に、微調整としての注入を後に行います。

Q. MDコードに基づく治療は安全ですか?

A. 論文では、MDコード自体が合併症を完全に防ぐものではなく、特に血管リスクの高い部位(アラートコード)は解剖学に精通した熟練医のみが扱うべき領域とされています。ヒアルロン酸注入には、腫れ・内出血・血管塞栓などのリスクが伴う場合があるため、実績のある医師による施術が不可欠です。

Q. 赤坂矯正歯科でヒアルロン酸注入は受けられますか?

A. 赤坂矯正歯科では、ヒアルロン酸注入・ボトックス注射は現在行っておりません。これらの施術は、提携・連携する美容医療機関でのご対応となります。矯正治療と美容医療の連携が必要と判断された場合には、信頼できる医療機関をご案内しております。(ボトックス注射に関しては今後導入予定です)

 

関連ページのご案内

本記事とあわせて、以下の記事・ページもご覧ください。

 矯正治療で横顔は変わる? 美容医療との連携で目指す顔貌全体のデザイン

 初診相談のご案内(港区赤坂の矯正歯科)

 院長プロフィール

東京・港区赤坂エリアで矯正治療をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

赤坂矯正歯科 院長 黒岩

 

【参考文献】

de Maio M. MD Codes™: A Methodological Approach to Facial Aesthetic Treatment with Injectable Hyaluronic Acid Fillers. Aesthetic Plastic Surgery. 2021;45(2):690-709. doi: 10.1007/s00266-020-01762-7

【注意事項】

・本記事はMDコードに関する学術論文の紹介であり、特定の治療法・製品を推奨するものではありません。
・ヒアルロン酸注入・ボトックス注射は赤坂矯正歯科では現在提供しておらず、提携・連携する医療機関での施術となります(ボトックス注射に関しては今後導入予定)。
・ヒアルロン酸注入には、腫れ・内出血・血管塞栓等のリスク・副作用が伴う場合があります。
・矯正治療の効果・期間・費用には個人差があり、すべての方に同様の結果をお約束するものではありません。

Page Top