小児矯正
小児矯正
子どもの歯並びは痛みなどの分かりやすい症状が出ないために、意外と見過ごされてしまうことが多いです。しかし、実は大人の歯並びと同じくらい子どもの歯並びも重要です。
子どものときの歯並びが悪いと大人になったときの歯並びに必ず悪影響を与えます。
また、悪い歯並びは歯やあごの関節にダメージを与えやすいだけでなく、成長発育に伴ってあごの変形や不調和を引き起こしてしまう可能性があります。
最初は小さなズレであるために放置してしまうと、時間が経つにつれズレが大きく悪くなるケースを今まで数多く見てきました。
逆に言えば、子どもは成長、発育の力があります。
成長、発育を上手に誘導することで上下のあごのバランス、顔つき、歯並びを良い方向へ改善することが出来ます。
加えて、将来の抜歯矯正を避けることにつながったり、歯並びや顔つきが悪化することを予防したり、定期的なお口の管理によって、虫歯や歯周病などの予防にもつながっていきます。
子どもの矯正歯科治療は2段階に分かれます。
6歳~12歳頃の混合歯列期(乳歯と永久歯が生えている時期)に行う治療のことです。
取り扱いが簡単な装置を使用し、本格的な矯正歯科治療(2期治療)に入る前の準備的な矯正歯科治療とも言えます。
12歳以降で永久歯が生えそろってから行う治療のことです。
マルチブラケット装置(全体的なワイヤー矯正装置)を用いて永久歯の歯並びや噛み合わせをしっかりと作り上げる本格的な矯正歯科治療です。
子どもの矯正歯科治療は、期間中ずっと治療が続くわけではありません。1期治療では初めの1-2年間は1~3ヶ月に1回の通院となります。
上下のあごのバランスを整えたり、歯列を拡げて歯を収めるスペースを作ったりすることが主な目的です。
1期治療の目的がある程度達成された後半は、経過観察に切り替えます。
この場合は4-8ヶ月に1回の通院になります。
2期治療では治療期間が約2年間、1ヶ月に1回の通院となります。全体的なワイヤー矯正装置を用いて永久歯の噛み合わせを完成させていきます。
歯を抜いて並べるのもこの時期に行います。
2期治療で完成した噛み合わせを維持する作業を保定と言います。
取り外し式のリテーナーという装置を終日または夜間使用します。
お顔(骨格)のバランスを整える
下顎前突(受け口)や上顎前突(出っ歯)、あごの曲りなどの場合、歯の問題だけではなく、骨格的な問題が関係している場合が多くなります。
その場合には、お顔つきにも影響が出てきます。
一期治療では、骨格的に上下のあごのバランスが悪い場合でも、成長を促してバランスを整えることができます。
成長期の治療ではこれが一番大きなメリットだと思われます。
成長期のうちに上下のあごのバランスを整えておくことで、2期治療での抜歯が必要なくなったり、簡単になったり、将来的な外科矯正のリスクが少なくなったり、2期治療の仕上がりは成人矯正だけの仕上がりより完成が美しいなど、多くのメリットがあります。
歯列を広げて、歯がならぶスペースを確保する
歯列を拡げるメリット
前歯や奥歯のかみ合わせを整える
奥歯の反対咬合(右上下の奥歯が逆)
前歯の反対咬合(上下の前歯が逆)
前歯や奥歯の噛み合わせのズレ(反対咬合)を放置した場合のデメリット
これらのデメリットを防ぐため、予防の点からも早期の改善が望まれます。(*個々人の状況により状況が変わるため、矯正相談にてご相談ください。)
永久歯が変な位置に生えてきてしまうことはよくありますが、矯正により良い位置に誘導することができる場合があります。
上図の場合、犬歯が斜めに埋まっています。このままだと側切歯の歯根にぶつかってしまったり、八重歯になって生えてきたりすることもあります。
乳犬歯を早めに抜歯し、前歯をまとめてスペースを作ることで、正常な位置に誘導出来ました。
呼吸にも良い影響を与える場合がある
下あごが小さい場合、気道が狭くなっていることがあります。
下あごを前方に成長させることで、気道が広がり、呼吸が楽になります。
また、急速拡大装置も鼻腔の中を拡げる効果があると報告されており、鼻の通りの改善が期待できます。
発音にも良い影響を与える場合がある
前歯が大きく開いて、噛めていない子は発音がしずらいことがあります。
サ行などが発音しずらく、滑舌が悪くなります。
かみ合わせの改善にともなって、発音の改善も期待できます。
以下は保護者の方からよくご相談されるケースです。
これらは歯の問題に加えて、骨格的な問題も含んでいます。
実は、意外にも上あごの成長時期と下あごの成長時期は異なります。
上あごはそれに近い成長パターンを示し、5~8歳ぐらいまでが最も成長が旺盛な時期となります。
また、10歳ぐらいではすでに80%ぐらいまで成長してしまっていると言えます。
それに対して、下あごは身長と同じような成長パターンを示し、女の子では小学校高学年頃、男の子では小学校高学年~中学生頃が成長のピークとなります。
つまり、受け口では、~6歳ぐらいの早めの時期に始めた方が望ましく、出っ歯のお子様の場合では、小学校中学年から高学年位に始めた方が望ましいと言えます。
ただし、機能的な要因など早めにアプローチした方が得策となったり、人の成長は個人差もありますので、早めにご相談していただいた方が安心かと思います。
永久歯に生え変わってからの治療を2期治療と呼びます。基本的にはマルチブラケット装置というワイヤーの矯正装置を用いるのが一般的です。1期治療を終えて、経過観察を経て、中学生ぐらいになってから2期治療へ移行します。永久歯の歯ならびやかみ合わせをしっかりと作り上げることが主な目的となります。永久歯に全部生え変わったこの段階で、抜歯か非抜歯かを検討します。1期治療で、問題点をしっかり改善しておくことで、2期治療の期間が短くなったり、治療自体がシンプルで簡単になったりします。※1期治療を行わなかった中学生以降の方は、成人矯正から開始することになります。基本的には、使用する装置は、成人矯正に準じます。
当院では装置代、毎回の調整代、保定装置代をすべて含んだトータルフィー制度を導入しています。
初回に総額をお支払いいただくため、その後の通院中もお子さまにお金をもたせる心配がありません。