
日本矯正歯科学会大会に参加してきました。
学会参加の目的
今回は「認定医・臨床指導医・指導医の審査症例展示をすべて見る」という自分なりのテーマを持って参加しました。全国の矯正歯科の先生方が、資格審査のために提出された症例が並ぶ展示です。
実際の模型も含めて、他の先生方の症例を1日かけてじっくり見られる機会は、年に1度のこの学会だけです。本当に勉強になりました。
審査資料とはどのようなものか
認定医などの審査では、1つの症例について治療前から治療後数年までの経過を、資料としてまとめて提出します。主な内容は次のとおりです。
- ① 3つの時点の記録初診時・動的治療終了時(装置を外したとき)・終了後2年以上経過時の3時点で、口腔内写真、顔面写真、パノラマレントゲン、側方セファロ(横顔のレントゲン)を提出します。
- ② セファロのトレースと重ね合わせ提出したセファロをトレースし、各時点を重ね合わせて、歯や骨格、横顔がどのように変化したかを比較します。
- ③ 症例の詳細な分析口腔内の状態、顔や骨格の状態を、数値を用いて細かく示します。
- ④ 治療計画と注意点その症例で特に注意すべき点や配慮した事項、立てた治療計画を記載します。
- ⑤ 治療の流れどのような順番で歯を動かしたか、ワイヤーをどのように交換していったか(ワイヤーシークエンス)を示します。
- ⑥ 治療結果実際にどのような結果になったかを示します。
- ⑦ 計画と結果の比較・考察最初に立てた治療計画と実際の結果を比べ、狙いどおりに治療できたか、違いがあればなぜかを考察します。
さらに、治療前・治療後の模型に加えて、治療後2年以上経過時の模型も提出します。
「治療後2年」まで求められる理由
審査で特に重要なのが、装置を外した時点だけでなく、その後2年以上の経過まで評価される点です。
矯正治療は、歯並びが整ったら終わりではありません。歯には元の位置に戻ろうとする性質があるため、治療後も安定した状態を保てているかどうかが、治療の質を示す大切な指標になります。
審査資料は、診断から治療計画、治療経過、結果、そして長期的な安定性まで、矯正治療のすべての過程を記録したものといえます。
展示を見て感じたこと
どの先生もしっかりと咬み合った仕上がりの症例ばかりで、素晴らしいと感じると同時に、身が引き締まる思いでした。日頃から真剣に治療に向き合っていますが、これからはより一層の緊張感を持って取り組んでいきたいと改めて感じています。
また、大学病院在籍時にお世話になった先輩・後輩の先生方とも久しぶりにご挨拶でき、嬉しい時間になりました。
矯正歯科を選ぶときのヒント
矯正歯科を選ぶ際には、見た目の変化だけでなく、「咬み合わせまで考えた診断と治療計画があるか」「治療後の安定まで見据えているか」を確認していただくことをおすすめします。
日本矯正歯科学会の認定医などの資格は、こうした厳しい症例審査を経て取得するものです。医院選びの1つの目安として参考にしてください。
よくあるご質問
- 矯正歯科の認定医審査ではどのような資料を提出するのですか?
- 初診時・動的治療終了時・終了後2年以上経過時の写真やレントゲン、セファロの重ね合わせ、数値による症例分析、治療計画、治療の流れ、治療結果、計画と結果を比較した考察などをまとめて提出します。治療前後と治療後2年以上経過時の模型も提出します。
- なぜ治療後2年以上の経過まで審査されるのですか?
- 歯には元の位置に戻ろうとする性質があるため、装置を外した後も歯並びや咬み合わせが安定しているかどうかが、治療の質を示す重要な指標になるからです。
- 矯正歯科を選ぶときは何を確認すればよいですか?
- 咬み合わせまで考えた診断と治療計画があるか、治療後の安定まで見据えているかを確認することをおすすめします。認定医などの資格も、医院選びの目安の1つになります。
学会で得た学びは、日々の診療で患者さんにしっかり還元していきます。来年の開催地は神戸です。また参加します。




